今回は訪問鍼灸マッサージのレセプト(療養費支給申請書)の書き方から請求方法まで解説していきますね。
受領委任制度が開始されるにあたって訪問マッサージの保険請求は非常に煩雑になりました。
以前まではレセプト用紙と同意書さえあれば請求することができました。
しかし受領委任制度施行後は療養費総括表などの書類も添付しなければならずめんどっちいことこの上ないです。
念のため受領委任なにそれ?ってかたがいたら下記のページを参照し、必ず受領委任に申し込みしましょう。
受領委任が申しこみ完了していないと保険取り扱いができませんので注意してください。
では本題に戻り、具体的にレセプト作成をみていきましょう。
レセプト(療養費支給申請書)の書き方
上から順に解説していきますね。
①療養費支給申請書( 年 月)
施術を行った年月を記入。例:令和6年10月分
②機関コード
基本的には無記入で大丈夫です
ここは従来、各保険者が施術所ごとに機関コードを発行し独自で管理していた名残り。
③公費番号・市町村番号・受給者番号
ここの欄に関しては記入の必要はありません
が、念のため公費医療の場合は記入に必要があるかどうかの確認を保険者に行ってください
④社国・公費・後高・退職
・健康保険(協会けんぽ)、船員保険、国民健康保険の場合は「1社国」
・公費負担医療制度の場合は「2公費」
→ほぼ使うことは無い
・後期高齢者医療制度の場合は「3後高」
・国民健康保険法による退職者医療の場合は「4退職」
→ほぼ使うことは無い
を○で囲む。
④本外・六外・8高外一・0外高7
・患者が本人の場合は「2本外」
→国保や協会けんぽの本人の場合
・未就学者の場合は「4六外」
→同じく国保や協会けんぽの未就学者の場合
・家族の場合は「6家外」
→同じく国保や協会けんぽの家族の場合
・高齢受給者、後期高齢者医療一般、低所得者の場合は「8高外一」
→高齢受給者というのは前期高齢者のこと、後期高齢の9割と8割給付の人もこれ
・高齢受給者、後期高齢者医療7割給付の場合は「0高外7」
→前期高齢者と後期高齢者の7割給付の人はこれ
を○で囲む。
上記に当てはまらない場合は○はつけなくて大丈夫です。
④給付割合
給付割合は患者の自己負担に応じて〇を記入。
例:1割負担の方なら9に丸をつける
例:2割負担の方なら8に丸をつける。
3割負担の場合は丸を付けなくてよい。
⑤保険者番号
患者の保険証に保険者番号が記載されているので、右詰めで記入します。
⑥被保険者証の記号番号
これも保険証に書いてあるので、そのまま記入します。
記号と番号の間にスペースを入れるか「・」又は「-」を記入する。
なお、後期高齢者医療の場合、被保険者番号を記入し、記号の記入は必要ない。
また国保などには「枝番」というのがある場合もありますが記入の必要はない。
⑦発病又は負傷年月日
同意書に書かれている通りに記入します。
不詳の場合は、「不詳」と書くのでOK。
⑧傷病名、発症又は不詳の原因およびその経過
同意書に記載された疾患名を記載します
原因は「不明」
経過については「現状維持」「改善傾向」「悪化傾向」
⑨療養を受けた者の氏名
施術を受けた患者の氏名を記入。
保険証通りに氏名、フリガナ、生年月日を記入し
続柄は「本人」か「家族」のどちらかを記入しましょう。
⑩業務上・外、第三者行為の有無
「3、その他」に丸を付けましょう。
カッコ内については「不明」でOK
⑪施術した場所
保険証に記載された住所に往療しているならば記載の必要なし
しかし例えば施設に入居している等で保険証の住所と違う住所に往療している場合は、実際に施術した住所(施設名も含めて)を記載する
⑫初療年月日
初回の施術を行った日付を記入しましょう。この日付から1年以内であれば週4回以上の施術を行っても「長期頻回施術理由書」を添付が必要ありません。
⑬施術期間
開始日
同意書が交付されて初めて行われる施術日(つまり初療日)の場合、その日を記入。
施術が継続している場合は、当月の初めの日(1日)を記入する。
最終日
申請書の「施術内容欄」の「転帰」欄が「継続」の場合は当月の末日を記入
「治癒」、「中止」、「転医」の場合は当月の最終施術日を記入する。
⑭実日数
その月に行った施術回数を記入します。
⑮請求区分
初めて保険者等に申請書を提出する場合、又は過去に申請書を提出した患者であっても当該施術所において患者の疾病が治癒した後、 新たな疾病または再発した疾病について施術を行う場合は「新規」を○で囲む。
その他の場合は「継続」を○で囲む。
(なお、再発により「新規」とした場合の初検料については、 医師の診察及び患者の病状等を踏まえ保険者等が認めた場合に支給するものである。)
⑯転帰
・施術が継続中の場合は「継続」
・治癒により終了の場合は「治癒」
・患者に対 する施術を中止した場合は「中止」
・保険医療機関に引き継いだ場合は「転医」
を○で囲 む。
⑰施術内容欄
傷病名及び症状
同意書の通りに傷病名を記入します
そして症状は簡潔に「麻痺側に拘縮および可動域制限、健側側には代償動作による疼痛」のような感じで症状を記載しましょう
施術料金の部分
施術を行った部位に対して「単価」と「施術回数」で合計金額を出し、
それぞれの施術部位に合計の施術回数を記入、
最終的な「合計額」「一部負担金」「請求額」を算出しましょう。
単価はこちらを参考にしてください
ただ月の途中で施術内容が変更になった場合もありますよね
例えば再同意のタイミングで施術部位に追加で〇をもらった場合など
下記の画像の例でいうと、躯幹と右上肢を2回施術していて、月の途中からあらたに右下肢も追加した場合ですね
そのような場合は下記のように2行にして表示してそれぞれ合計料金を算出します
また合計料金には過去には小数点以下が生まれていた時もありました
今後も料金改定によって小数点が生まれる可能性はあるので、
算出方法についてはこちらを参考にしてください
一部負担金
「一部負担金(1割、2割、3割)」のところの負担割合に丸を付け忘れないように。
施術報告書交付料
施術報告書交付料は前回の算定から5か月間を空けないといけません。
しかし変形徒手は毎月報告書料の算定が可能です
詳しくは以下の記事に算定条件があります
また施術報告書料を算定したら、その翌月のレセプトには過去の算定月として「〇年〇月分」と記入します
例えば令和6年10月に報告書料を算定したらならば、11月のレセプトを作成するときに報告書料の前回支給欄に「令和6年10月分」と記入します
⑱摘要欄
簡単に症状を説明し歩行困難であることを記入しましょう。「○○のため歩行困難である」みたいな。
あとは施術管理者以外の施術者(勤務する施術者)が施術を行う場合、当該勤務する施術者の氏名とその施術日を記入する。
⑲施術日
施術を行った月を記入し、日付のところには
訪問施術料1ならば①
訪問施術料2ならば②
訪問施術料3ならば③
通所ならば〇
往療ならば◎
を記入します
訪問施術料と往療の違いについては下記でも解説しています
マッサージとはりきゅうを併用した場合、マッサージは訪問施術料を算定し、はりきゅうは通所料金で算定します(なのではりきゅうは通所欄に料金を記載)
しかし実際には往療して施術しているのではりきゅうの施術日欄には◎を記入するという感じです
往療しているのに通所料金で算定など、とてもややこしいのですがこれがルールです
⑳施術証明欄
日付は最終施術日を記入し、登録記号番号を記入。
保健所登録区分
施術所なのか出張専業なのかどちらかを丸。
あとは住所・名称・氏名・電話番号を記入
㉑申請欄
日付も最終治療日を記入し、その下は保険者名を記入します。仮に東京都後期高齢ならば「東京都後期高齢者医療広域連合長 殿」って感じ。
申請者は保険証の通りに記入。
たとえば旦那に扶養されている妻を施術した場合、申請者は旦那の名前を記入するということです。
㉒支払機関欄
基本は「振込」です。
ゆうちょ銀行を使ってる人も「振込」です。
他は基本使いません。
預金の種類は基本は「普通」口座を利用します。
他の種類だと保険者が対応していない場合がほとんどです。
あとは金融機関名・支店名・口座番号・口座名義を記入。
㉓同意記録
同意書の通りに記入。
医師の氏名、医療機関の住所、同意年月日を記入。
傷病名は「上記傷病名」でOKです。
要加療機関は書かなくてOKですが、自分が管理しやすいように同意期限が切れる日付を記入してもOKです。
㉔代理人委任欄
日付は最終治療日を記入し、申請者はさきほどの通り「被保険者」の氏名と住所、代理人はあなたの住所とお名前です。
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これでレセプトの記入は完璧です!
基本は上記の通りに記入すれば問題ないはずですが、「こんな場合はどうするんだろう?」という時はお気軽に質問してください。
つづいて総括表の書き方です。
総括表の書き方
この総括表Ⅰは国保連だったり、審査会宛てにレセプトを送付する場合に使用します。
どういうことかというと、現在はレセプトの提出先は各保険者に送付することになっています。
が、いずれはすべてのレセプトは保険者に関係なく国保連又は審査会と呼ばれる国保連に似た組織に送付することになります。
その際に、保険者ごとの請求件数や料金をわかりやすくまとめるために総括表Ⅰが存在します。
例えば
○○県後期高齢者 〇件 〇円
○○市国民健康保険 〇件 〇円
のような感じで保険者ごとに、合計件数と合計金額を記入します。
注意点としてマッサージと鍼灸は別々に総括表を作ります!
…のですが愛媛県後期高齢のように「マッサージとはりきゅうで1つの総括表1を作れ!」という保険者もいますので電話で聞かないとわからないです。。
実際に使用するのかどうかは提出先の審査会や国保連にお問い合わせください
基本的には次の総括表Ⅱを使用します。
総括表Ⅱの書き方
①年月日
施術を行った年月を記入します。
②保険者名
保賢者名を記入。例:東京都後期高齢者医療広域連合長 殿
③請求者欄
受領委任の登録記号番号・施術管理者名・施術所名を記入
④〇〇療養費
ここはあん摩マッサージの請求ならば「マッサージ」と記入し、鍼灸なら「はりきゅう」と記入。
⑤請求
その保険者に送付するすべての患者の件数・合計費用額・合計負担金・合計請求額を記入します。
注意点として「本人」と「家族」では分けること!
それ以降のところは記入の必要はありません。
保険者に送付するもの一覧
下記で説明する必要書類は雛形ページからダウンロードしてください!
レセプト関係の書き方は以上です。面倒ですが意外に簡単だったと思います。
流れとしては、
①すべての患者のレセプトを作成。
②送付する各保険者ごとにレセプトをまとめて、総括表Ⅱを作成する。国保連に提出する場合は総括表Ⅰも忘れずに。
③あ、同意書も忘れずに!あとは保険者に郵送するだけです。
送付する書類
療養費総括表1および2
受領委任用レセプト(マッサージ)
受領委任用レセプト(はりきゅう)
同意書(あん摩)
同意書(はりきゅう)
施術報告書(再同意の場合)
施術継続理由書(はりきゅう)
施術継続理由書(マッサージ)
あまり上記のような頻回施術(1年以上かつ月16回以上)はやらない方がいいです
もちろん患者様の状態やご要望にもよりますので、あくまで経営的な視点では週2回の施術におさめるのがベター
施術回数についてはこちらをご覧ください↓
総括・まとめ
いかがだったでしょうか?
所々、注意点はあるものの基本的に記入はさして難しくありません。
書き方もすぐ慣れるので問題はないと思います。
それでも何かわからないことや不安なことがあればいつでもお問い合わせから聞いてくださいね。
ここまでで何かわからないこと
ご不明点がありましたら下記コメント欄か
お問い合わせからメッセージください。
最後までお読みいただき
ありがとうございます(^^)
ご質問・ご感想
コメントありがとうございます!
管理人のはりすけです。
訪問鍼灸と接骨院の併用が可能かどうかですが、これがそれぞれ別日で施術しているのであれば申請は通ります。
しかし同一日の場合は「通らない可能性もある」ということになります。
訪問鍼灸にしろ訪問マッサージにしろ接骨院にしろ、なんの疾患に対しての施術なのか、どこの部位への施術なのかを保険者が判断します。
これは保険者によって対応が変わるので、疾患名さえ違えば申請が通ることもありますし、疾患名が違えど施術している部位が被ったら返戻となった事例もあります。
つまり一律に併用を不可としているのではなく、あくまで保険者の判断によって決められます。
その基準はさきほど申し上げた通り
・なんの疾患に対する施術か
・どこの部位への施術か
が焦点となります。
接骨院の施術がどんな疾患名で保険請求上、どこの部位への施術となっているのかが確認できれば保険者にも確認が取れやすいですね!
この度、保険請求を初めて行うものです。
なかなか検索しても知りたい情報が得れずに困っていました。
レセプト内容等、詳細をご紹介して頂き本当に助かりました。
ありがとうございます(*^^*)
何かご不明点があれば、LINE@やお問い合わせフォームなどでもご質問受け付けております!
よろしくお願いいたします。
はりすけさんいつもお世話になっております。
私は今月から保険施術を始めて、細かく解説してくださっているのは助かります。
記事の中の、総括表Ⅱの書き方についてお尋ねします。
⑤の本人と家族とはどういう分類なのでしょうか?
被保険者かその家族かということでしょうか?
素人みたいな質問で申し訳ございませんm(__)m
いえいえ(^^)
お役に立ててるようでなによりです!
はい、おっしゃる通り施術を受けているのが被保険者本人ならば「本人」で、施術を受けているのが被保険者の家族、例えば奥さんとかお子さんとかであれば「家族」です!
回答ありがとうございます^^
助かりました!
はりすけさんご無沙汰しております!おかげさまで少しずつ患者さまが増えてまいりましたが、一つの保険者に複数の患者分のレセプト&総括表などを送る際、皆さんどのように送ってらっしゃるのでしょうか?患者毎にクリップで綴じた方が良いでしょうか。あるいは患者毎に封筒を分ける方が適切でしょうか。小さなことですが気になってしまいました。ご回答よろしくお願いいたします。
順調でなによりです(^^)
レセプトについては基本的に保険者ごとに患者全員分をまとめて総括表をホッチキスなどで留めて送付しますね。
例えば東京都後期高齢の患者10名、中野区国保が10名いたら、それぞれ保険者ごとに患者全員分のレセプトをまとめてそれに総括表Ⅱをあわせてホッチキスで留める。
最後に両方の保険者の金額の総合計を総括表Ⅰに記入して添付してまとめて送付という感じです。
上記は国保連に送る場合ですね。
今回どこの保険者に送る話なのかの情報がないのでわからないですが、基本的に保険者ごとにまとめるものと思ってください。
お返事ありがとうございます!私の地域では国保連ではなく、後期高齢者医療広域連合や市町村といった保険者へそれぞれ送る形なのですが、往療内訳表を含めて各患者様の書類をまとめて送っていいということですね。
参考になりました。ありがとうございます^^
はい、おっしゃる通りです(^^)
よろしくお願いいたします!
ご無沙汰しております。
はりすけさん、いつも情報提供ありがとうございます!
また質問なのですが、8月分の申請で初めて返戻が来てしまいました。理由は単純なミスなので訂正して送り返せば問題ないのですが、レセプトや往療内訳表を訂正する場合、訂正箇所が多い場合は新たに作り直しても良いのでしょうか?また返戻付箋に「お返しした申請書は必ず提出してください」とあるので、新たに申請書や内訳表を作り直した場合は作り直したものと一緒に送り返されたものも提出すれば良いのでしょうか。
お手すきのときにご回答いただけると幸いです。
基本的には手直しするところが多くても送り返されたレセプトを直して提出します。
とはいえこれは保険者によって新しいものを作り直すのでOKとしてくれるところもありますので電話で聞いてみないとわからないのが正直なところです。
はじめまして、よろしくお願いします。
今回、初めてレセプト作成しますので、とても助かってます。ありがとうございます!
障害者認定の方の場合がわからず、調べてもわからず、ここに辿り着きました…
よろしければ、教えていただきたいです。
よろしくお願いします。
都道府県によって対応が異なりますが、一般的にレセプト自体は通常通りの請求を行うことがほとんどです。
そして障害者認定を受けている方は自己負担が無料、または一部無料となることがありますが、その自己負担金の還付請求については別途、役所の障害福祉課にて請求書をもらい(役所のHPからダウンロードできることもある)、領収書とともに障害福祉課に提出することで還付が受けられます。
これらについても自治体によってルールが異なるので障害福祉課に聞くのが良いかと思います。
この度は分かりやすく解説して頂き本当にありがとうございました。
はりすけさん、丁寧な解説大変助かっております。
令和6年10月からの改定で申請書の様式が分かりにくく不安です。
もし新しい申請書の書き方もアップして頂けたら大変うれしいです。
よろしくお願い致します。
お待たせしました!
新しいレセプトの記入方法についてUPしましたのでご確認ください。
ただそこまで大きく変わったものはありませんが不明点がありましたらお問い合わせください。
お世話になります。
10月からの改変に伴い、総括表Ⅰは不要になると何かに書いてあったような・・
(勘違いかもしれません)
私はてっきり総括表Ⅱと療養費申請書だけで良いものとばかり思っていました。
ちなみに神奈川県の後期高齢です。
念の為に両方提出するつもりでいますが、本来必要でない(かもしれない)ものを付けても問題ないですかね?
お世話になります!
今回の改定で不要になったのは「往療内訳書」のみです!
そのため総括表ⅠとⅡはどちらも必要となります。
そうなんですね。
お聞きして良かったです。
あともう一つ。
総括表は以前と同じ書式でよろしいでしょうか?
神奈川は例のものとは違うもので。
はい!総括表の書式はそのままです!
今回変わったのはレセプト様式だけですね。
ありがとうございます!
明日午前中に郵送すれば間に合うかな?
やはり何事も余裕をもってやらないとダメですね。
通常の郵便であれば水曜日に出せば金曜日には届くので間に合うかと思いますよ!
私はいつもレターパックで送っていますが!