開業前の悩みで一番多いのは開業場所の選定
訪問マッサージはかなり低資金で開業できてしまうため資金で悩むということはあまりありません。
開業の準備段階で一番多い悩みといえば、「開業する場所はどこがよいのか?」ということだと思います。
都心部がいいのか田舎がいいのか?
大手がいるとこは避けるべきか?
実際に開業されている多くの方は、ご自身が住んでいる場所、または学生時代に通っていたとこなど
ある程度土地勘がある場所で開業されるケースがほとんどです。
でもその地域がとんでもなく田舎だったり、ライバルがひしめく地域だったりすると、そこで開業してもよいものか心配になりますよね?
それだけならまだしも
医師の同意書が取りづらい…
ケアマネの反応が冷たい…
役所の審査が厳しすぎる…
なんてことがあとからわかったのでは悲惨です。
それを回避するためには、やはり開業前にある程度は下調べをしておく必要があります。
失敗したくないから場所選びは悩むわね💦
大丈夫!安心安全な開業場所の選び方を教えるよ!
離島や過疎地でもない限りどこでも大丈夫ですよ、という講師やコンサルの人がいますが、
そういう人に限って本当に同意書がでない地域で経験したことが無い人ですので注意してください
では具体的な選び方をお伝えします
まずは市場調査からはじめよう
訪問鍼灸マッサージで開業するならば、商圏に
どれくらい高齢者がいるか?
営業先となる介護事業所は何件あるか?
ライバルがどのくらいいるか?
あたりは最低限調べておきましょう。
高齢者(要介護者)の人数の調べ方
まず商圏のなかにどれくらいの要介護認定を受けている高齢者がいるのか把握しましょう。
訪問マッサージは半径16kmまでは往診圏内ですが、現実的には半径4km圏内でコンパクトにまわる方が利益率は高いです。
そのため半径4kmの商圏のなかにどれくらい要介護者がいるのか調べるのですが、以下の「ワムネット」というサイトがとてもおすすめ
このサイトからご自身の地域を検索します。
半径4km圏内に要介護3以上の人が最低でも2000人いれば合格ラインです。
このラインを下回ると安定的な集客がやや難しくなってくるので少ししんどいかもしれませんね。
介護事業所の件数の調べ方
介護事業所の検索にもさきほどのワムネットがとても使いやすいので以下のリンクから検索します。
上記リンクからご自身の県名をクリックすると以下のような画面になります。
「介護事業所を検索する」をクリック
「詳しい条件で探す」をクリック
①サービスの種類から【居宅介護支援】を選択
②ご自身の開業地の住所をいれる
③事業所のまでの距離を半径5kmで選択し検索
この営業先となる居宅介護支援事業所が商圏のなかに200件ぐらいあれば合格ラインです。
ただ居宅介護支援事業所がもし200件なかったとして、
デイサービスや老人ホームなども全部あわせて200件くらいあれば、集客に関してはおおむね問題ありません
ライバル院の件数の調べ方
ライバル治療院の件数の調べ方はいたってシンプルでネットで調べるのが一番簡単だと思います。
「○○市 訪問マッサージ」
のように検索すればでてきますね。
現在は各厚生局のページから施術所リストをダウンロードすることができます
たとえば関東の方ならこちら↓
同様に他県でも各厚生局のページから「受領委任取り扱い施術所一覧」と検索すればでますよ!
ライバル院に関しては何件なら合格ラインというのはありません。
ただライバル院が多くても不安になる必要はありません。
大手訪問マッサージ会社あったとしても問題ありません。
ライバルが多くいたところで高齢者の数はとても多いので集客は問題ありません。
大手やライバルがいることで訪問マッサージの認知度があるので、一から説明する必要もなく、むしろ好都合です!
以上のことを踏まえると、一番てっとりばやい市場調査はライバル院を調べるのが早そうですね。
開業前にドライテストをしよう
「ドライテスト」とは、簡単にいうと商品が無い状態で予約販売的に売ることです。
訪問マッサージも同様に、まず開業予定地にてドライテストを行い、反応が良ければそこを開業地として決定してOKということですね
これをしないで厳しい地域で開業してしまい、預金残高が底をついて廃業してしまう人もなかにはいます
人生を左右する大きな決断となりますので慎重におこないましょう。
ドライテストでみるべきところは
・ケアマネの反応
・医師の反応
・役所(保険者)の反応
の3つになります。
ドライテスト(ケアマネ編)
まずはなんといっても営業先である居宅介護事業所にいるケアマネさんの訪問マッサージに対する反応について調べます
でもまだ開業もしていないのに、どういう理由で会いにいけばいいの?
「開業前のご挨拶」という理由で会いに行けばいいんだよ!
なんのお店を出すにしても、お店がオープンする前は近隣店舗やご近所に開業前のご挨拶にいくのはよくあることです
ドライテストではそれを利用します。
まず挨拶にいくためには最低限「名刺」は必要になります。
でもまだその場所で開業するかどうか悩んでいる段階だから、名刺を作るのをためらうかたもいると思います
が、なんと自分でお安く作ることができます!
名刺を自宅プリンターで作れる用紙↓
これを使えばたった数百円でとりあえずの名刺が作れちゃいます。
名刺ができたら、上記で解説したワムネットで居宅介護支援事業所を検索してみましょう。
そして商圏の4km圏内にある居宅をざーっと最低でも50件程度はまわってみましょう。
ではケアマネさんとのやり取りを、ケアマネ役のはり子と鍼灸マッサージ師役のはりすけで実演してみましょう♪
こんにちはー!
はーい?
わたくしこの近辺で訪問マッサージを開業予定の○○治療院のはりすけと申します!今日はケアマネージャー様にご挨拶にきました!
そうなんですねー。私がケアマネのはり子です。
ありがとうございます!良ければご挨拶よろしいでしょうか?(と、いいながら名刺を手にもって見せる)
あー、はいはい。よろしくお願いいたします。(名刺交換)
お忙しいところありがとうございます!はり子様は訪問マッサージはすでにご存知でしたか?
ええ、知ってますよ。最近よく来られますね。
そうでしたか!そうしますと訪問マッサージをご利用されたこともありましたか?
そうですね。利用者さんの何人かが利用してますね。
そうなんですね!私もこの地域で開業したさいは、はり子様のお力になれるよう全力で行動しますのでよろしくお願いいたします!
はい、こちらこそよろしくお願いいたします。
お忙しいところありがとうございました!失礼いたします!
と、こんな感じのやり取りがその地域で多くみられれば問題はなさそうですね!
ただ、もちろん上記のやり取りだけでなくこんな反応が返ってくることもしばしばあります。
訪問マッサージ?なんですかそれは?
このパターンはその地域にあまりライバルがいない田舎でみられるパターン。
訪問マッサージを一から説明しないといけないのと、訪問マッサージという見知らぬサービスを利用する恐怖心を取り払うまでは、紹介までに時間がかかる。
あー、、訪問マッサージって同意書が出ないでしょ?
この反応は黄色信号です。その地域が同意書がでないパターンの可能性があります。
が!まだわからない!「実際にご利用者さんで断られたケースありましたか?」と聞いてみましょう
なかには同意書は出ないもの、という噂だけでこの反応をするケアマネもいるので注意です。
もううちには決まった業者さんがいるのよー。
ケアマネさんには懇意にしている訪問マッサージ業者さんがいる場合もあります
でもこれはその地域で訪問マッサージは仕事として成り立っている証拠でもあります
念のための上記の返しとして、
そうなんですね!でもその業者さんも無限に患者様を受け入れられるわけでもないと思うので、もし受けきれない場合があった時にご協力させてください!
といった形で返せればスマートですね!
またケアマネさんに懇意にしている訪問マッサージの業者がいても全然大丈夫!
はりすけの言葉通りなので、紹介をもらえるまでは時間はかかるかもしれませんが営業を続けていれば何かしらの良い変化は必ず生まれます
ドライテスト(医師編)
続いては医師編ですが、基本的にケアマネのドライテストのなかで同意書が出るかどうかも同時にわかってしまいます
なので医師編に関しては特別に何かする必要はあまりありません
ただ念には念をという方は、商圏にある内科クリニックを中心に電話調査をする手段がありますので、その流れをみていきましょう
はい、○○内科クリニックです。
お忙しいところ失礼いたします。私訪問マッサージをしております○○治療院のはりすけと申します。
お世話になっております。
お世話になります。現在、訪問マッサージの同意書を書いてくださる先生を探しておりまして、そちらのクリニックでは同意書のご発行は行っておりますでしょうか?
はい、当クリニックに診察を受けているかたにはお出ししておりますよ。
そうでしたか!ありがとうございます。また患者様と相談し、あらためてご相談させていただくかもしれません。お忙しいところ失礼いたしました!
このような流れで同意書を発行してくれるかどうかを確認しつつ、
同意書を発行してくれるクリニック一覧としてリストアップしておきましょう。というのも、それが営業にも役立ちます!
ケアマネ営業をしていると、「同意書って書てくれるとこある?」という風に聞かれることがあります
「○○クリニックさんや○○内科さんは書いてくださいますよ!」と答えると説得力があるのでケアマネさんも安心感を感じますよね。
ドライテスト(保険者編)
続いては保険者編です。
訪問マッサージは保険を使ってお安く鍼灸やマッサージを提供することができますが、
料金の大部分は保険者、つまりお役所からいただくことになります。
基本的には保険者への請求用紙(レセプト)に記入漏れや間違いがなければ、ほぼ問題なく入金があるのですが、
地域によっては訪問鍼灸・訪問マッサージに対して独自ルールを設けている保険者があるので注意しなければなりません
今までにあった独自ルールを列挙します
・要介護3以上かつ市役所の許可が必要(静岡県)
・償還払いしか受け付けない(組合健保に多い)
・生活保護は半年しか継続できない(豊島区)
・生活保護の往診距離は2kmまで(足立区)
・etc…
これは私の仲間が経験した一例ですが、きっと全国の保険者には上記以外にも独自ルールが設定されている場合もあると思います
これらルール設定がされているかどうかはお役所に電話で聞いてみないとわかりません。
保険者が「○○県後期高齢」の場合は保険給付課
保険者が「市区町村」の場合は健康保険課が
問い合わせ先になります
それ以外の保険者の場合は、「訪問マッサージの療養費についてお聞きしたいことがあります」といえば問い合わせ先につないでくれます
また生活保護に関することは市区町村の生活保護課が担当ですね
以上がドライテスト方法になります
総括・まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は市場調査とドライテスト法をお伝えしました。
これらを開業前に行うことによって、
・需要もしっかりある
・ケアマネの理解がある
・同意書も問題なく発行される
・面倒な独自ルールもない
ということがわかれば、保健所にいって即開業届を出しても問題ありませんね!
逆に上記になにか問題が多いのであれば、そこを開業地としてキャンセルすればいい。
こうすることで無駄な経費をかけることなく
最短最速で成功へ近づくことができます。
勢いだけで開業してしまわないように注意してくださいね!
ここまで何かわからないこと
ご不安なことがありましたら
いつでも下記コメント欄か
お問い合わせから相談してくださいね!
最後までお読みいただきありがとうございます(^^)
ご質問・ご感想
確認ですが、場所の選定とは住民票が必要な出張届ではなく施術所開設の訪問マッサージということですよね?
ご質問ありがとうございます!
開業場所の選定ですが、出張届でも施術所開設でもどちらでも言えることです。
ただ確かに出張届の場合は住民票の所在地が拠点となるため、開業場所に選んだ場所に住民票を移さないといけなくなりますよね。
しかし施術所開設の場合においても開設基準に見合う物件を用意しなければなりません。
上記2つを比較検討しお好きな方をとっていただければと思います。
人によっては都心部のレンタルルームなどで格安(月額数千円程度)で住所を借りて、そこを住民票登録し出張届で開業しいている方もいます。
これが同じく都心部で施術所開設に見合う物件(例えば1K)を探すとなると、ボロい物件でも家賃が数万円以上はしますよね。
どちらを取るかはそれぞれの判断によりますね。
有益な情報を開示して頂き、たいへん勉強になります。ありがとうございます。
上の回答欄の内容に被ってしまうのですが…
出張届で訪問マッサージを開業したいと思っているのですが、開業する土地と住民票の所在地は、どれ位離れては駄目とか、制約はありますか?
現在、私が勤務して訪問マッサージ業務を行っている市は、自宅から遠く、およそ50Kmの道程を通っています。同じ県内ではあります。
ご回答よろしくお願い致します。
コメントありがとうございます!
ご質問の件ですが、出張届の場合、住民票の住所が拠点になります。つまりご自宅が事務所という扱いになりますね。
住民票の住所から離れた場所を拠点にすることはできません。
よろしくお願いいたします!
速やかにご回答してくださり、ありがとうございました。